登壇するジョルトキャピタルのジャン・シュミットCEO(左から2人目、大阪市)

国内外のスタートアップやベンチャーキャピタル(VC)などが集う国際会議「グローバル・スタートアップ・エキスポ(GSE)」が17日、大阪・関西万博会場で開幕した。海外の有力ファンドやVCが相次ぎ日本への拠点設置などを表明。スタートアップが持つ先端技術に期待する声が聞かれた。

「日本には優れた特許と知的財産があり、それが大きな営業収益を生むことにつながる」。フランスのプライベート・エクイティ(PE=未公開株)ファンド、ジョルトキャピタルのジャン・シュミット最高経営責任者(CEO)はステージで語った。

ジョルトは2011年設立で運用資産はおよそ6億ユーロ(約1000億円)。創業初期を経て、事業拡大のための支援を必要とするディープテック(先端技術)分野の企業に投資してきた。

同日、東京に新たな拠点を設置する計画を明らかにした。26年前半に、投資判断を担う人材として半導体やサイバーセキュリティーのエンジニア経験者を2人雇用し、オフィスや法人格などの体制も整える。

25年内に運用を始める予定の10億ユーロ(約1700億円)の新ファンドでは、計20社程度の投資先のうち2〜3社を日本企業とする。

米VCのアルムナイ・ベンチャーズは日米のスタートアップに投資する1億ドル(約150億円)規模の新ファンドを設けると表明した。マイケル・コリンズCEOは「東京に事務所を創設してフルタイムの人材を雇用し、日本と米国の架け橋になりたい」と述べた。

新ファンドの運用期間は15年間程度を想定。核融合やロボティクスといった先端技術の事業化に取り組むスタートアップを対象に、1社あたり約300万〜500万ドル、20〜50社程度に投資する考えだ。

世界のテック企業に出資する米大手VCニュー・エンタープライズ・アソシエイツは国内最速でユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)となったサカナAIをはじめ3社に出資しており、4社目の日本向け投資も進めていることを明らかにした。

パートナーのアンドリュー・シェーン氏は「市場規模・人材力・政府の支援の3つが手厚くそろっている日本のエコシステムは魅力的だ」とした上で、「成長後期にあたる投資家の層は薄く、IPO(新規株式公開)直前段階の事業支援も今後課題になる」と指摘した。

国内スタートアップにとっては、資金力を持ち支援のノウハウが豊富な海外投資家とのつながりを持つ機会が広がる。

電池素材開発の3DC(仙台市)の黒田拓馬CEOは「増産投資の面でも海外マネーは重要。製造などの協業先の裾野も広げていきたい」と意欲を示した。食品向けなどの真空容器技術を手がけるインターホールディングス(東京・渋谷)の成井五久実CEOも「調達市況が厳しいなかで、海外投資家の支援は欠かせない」と語った。

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