
京都大学発の医療スタートアップ、Link Therapeutics(リンクセラピューティクス、京都市)は18日、カネカと潰瘍性大腸炎の治療を目指す医療機器について共同で研究に取り組むと発表した。患者の血液中から疾患の原因の可能性がある物質を取り除く機器で、2030年の実用化を目指す。
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜の炎症で下痢などを起こす疾患で、国内に約20万人の患者がいるとされる。根本的な治療法がなく、国の指定難病となっている。その中で京大は疾患の原因因子の可能性がある「自己抗体」を発見。リンクセラピューティクスはその抗体を取り除くことを目指している。
カネカと開発する医療機器は人工透析のような仕組みを想定する。患者の血液をいちど体外に送り、自己抗体を吸着させて取り除いた血液を体内に戻す。カネカは血液中から特定の成分を取り除く血液浄化器を実用化しており、この技術を生かす考え。
リンクセラピューティクスは2ミリリットルほどの容量の小型吸着装置を試作しており、カネカとの協業で250ミリリットルほどに大きくしていく。27年から臨床試験(治験)を始めたい考えだ。
リンクセラピューティクスは22年設立。潰瘍性大腸炎に関わる京都大学の塩川雅広病院講師などの研究成果を生かした医療技術の実用化を目指している。

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