みずほフィナンシャルグループ(FG)の木原正裕社長は日本経済新聞のインタビューで「人工知能(AI)は仕事の付加価値を劇的に上げる手段であり、すべてのビジネスパーソンが使いこなさないといけない時代が来る」と語った。デジタルやAIを活用して業務の効率化や顧客サービスを向上するため、500億円規模を投資する考えを明らかにした。
木原社長は10月9日に開く「金融ニッポン」トップ・シンポジウムに登壇し、AI時代の金融経営について議論する。みずほはマスリテール、資産形成、企業の成長支援、海外投資銀行の4つを注力領域に掲げ、関連する6つのプロジェクトを決めた。「どれくらいの年限かは決めていないが、500億円くらいを使う」と述べた。
みずほは自社で開発した生成AIのアプリを全社的に導入する。コンタクトセンターにはAIを導入した。顧客の属性や過去の接点履歴を基に、顧客の質問への回答をAIが準備する体制をつくった。木原社長は「日本の労働人口が減るなかで、生産性の向上が極めて重要だ」と指摘した。
AI時代の金融経営で重視することを問われ「対話力と共感力をベースとした創造力、倫理観」を挙げた。金利ある世界の到来で、個人営業では対面での助言が重みを増す。3月からは個人客の資産アドバイスに特化した新型店舗「みずほのアトリエ」を展開。「ニーズを聞き出して最適なサービスを提供する提案力をつける」と話した。

1989年(平元年)一橋大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。米デューク大学留学、法科大学院卒。21年みずほフィナンシャルグループの執行役。22年2月から現職
他の銀行に比べ遅れが指摘されるリテールは「もう一回旗を立てる」と意気込む。みずほは楽天グループと連携し「みずほ楽天カード」を発行した。「楽天の経済圏とつながることによって利便性、利得性の高いサービスを提供し、みずほの預金の魅力度を増していく」と説明する。
法人向けビジネスでは独自の与信モデルを持つスタートアップのUPSIDER(アップサイダー)ホールディングス(東京・港)を買収する。木原社長は「AIを活用した与信により、従来では資金を借りられない中小企業がスピーディーに資金調達できる環境を整える」と強調した。
「日本の価値観に根ざした多様な文化をつなぐグローバル金融機関」がみずほが目指す姿だという。2027年度には自己資本利益率(ROE)で10%超を目指す。「意欲的だが、やってやれないことはない」と自信を示した。
「金融ニッポン」シンポジウム◇日時、会場
10月9日(木)午後1時〜2時30分、日経ホール(東京・大手町)。入場無料
◇申し込み
会場での参加はウェブサイト(https://www.nikkei.com/live/event/EVT250807003)からお手続きください。10月1日(水)に締め切ります。
◇講師 木原正裕・みずほフィナンシャルグループ社長、奥田健太郎・野村ホールディングス・グループ最高経営責任者、亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長、荻野明彦・大和証券グループ本社社長、中島達・三井住友フィナンシャルグループ社長
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