農林水産省は19日、食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)食糧部会で、2025年7月から1年間の主食用米の需要量が697万~711万トンになるとの見通しを示した。インバウンド(訪日客)需要も加味した新たな算定方法を導入。前年当初の見通しと比べると24万~38万トンの増加となる一方、前年実績(711万トン)との比較では同水準か下回る見込みだ。

例年7月に同部会で示していた翌年6月までの見通しは、生産者にとっても重要な指標となっていた。ただ、昨年は当初見通し(673万トン)と実績との間に大きな乖離(かいり)が生じたことなどから、今年7月の公表を見送り、算定方法の見直しを検討してきた。

農水省はこれまで、人口やコメ消費が減少傾向にあるという前提で需要見込みを計算してきた。新たな算定方法では、訪日客の増加に伴う需要の変化や、高温障害などで玄米を精米して残る白米の割合「歩留まり」が低下傾向にあることも考慮する。

25年産の生産の見通しは728万~745万トンと、669万トンだった24年産当初見通しを上回る。来年6月末の民間在庫量は最大229万トンと、今年6月末時点(157万トン)の1.5倍に膨らみ、02年以来の高水準になると見込む。

農水省は今後、ふるさと納税で流通するコメの数量調査などの結果を反映させ、需給見通しの幅を狭めていく方針だ。

小泉進次郎農水相は食糧部会に先立つ閣議後記者会見で、民間在庫量の増加が見込まれることに関し、「コメを取り扱う事業者から『足りなくなるのが心配だ』との声も聞いているが、この数字なども見て、冷静に対応してほしい」と述べた。

農林水産省がコメの需給見通しを示した食料・農業・農村政策審議会食糧部会=19日午前、同省

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