あすか製薬ホールディングス(HD)は18日、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツから、今後あすか製薬HD株を議決権比率で最大30%程度まで買い増す意思があるとする趣旨説明書を受け取ったと発表した。ダルトン側はMBO(経営陣が参加する買収)の実施を提案している。あすか製薬HDは機動的な投資が難しくなるとして懸念を示しており、新株予約権を使った対抗策を発動するか今後検討する。

ダルトンやグループ会社は5月時点であすか製薬HD株を計20.79%保有していた。あすか製薬HDは7月1日、買い増しへの対応方針を取締役会で決議し、ダルトン側が22%以上の買い増しに動く場合は事前に趣旨説明書の提出を求めるとしていた。

8月25日までに買い増しの目的やその後の方針など、他株主の判断の参考になる情報提供をダルトンに求める。その上で60営業日以内に臨時株主総会を開くか決め、対抗策の発動について株主の判断を仰ぐ。

対抗策はダルトン側以外の株主に新株予約権を無償で割り当て、ダルトン側の議決権比率を下げる内容だ。ダルトンが情報提供の要請などに応じない場合は株主総会を経ずに対抗策を取る可能性もある。

あすか製薬HDはMBOを実施すれば利払い負担の大きい借入金を背負うことになり、研究開発への機動的な投資が難しくなるほか医薬品の安定供給に支障を来しかねないとして懸念を示した。ダルトン側が取締役を派遣する場合も「一般株主との利益相反が生じ得る」としている。

ダルトンのグループ会社であるライジング・サン・マネジメントは、あすか製薬HDの対応方針について「上場会社の責任を根本から否定し、健全なコーポレートガバナンスの原則を冒瀆(ぼうとく)するものだ」とする書簡を公開している。

あすか製薬HDは子宮筋腫などの治療剤「レルミナ」や月経困難症の治療剤「ドロエチ」などの製造販売を手がけるあすか製薬を傘下に持つ。2026年3月期の連結業績について、売上高が前期比17%増の750億円、純利益を2%増の52億円と見込む。4日に発表した25年4〜6月期の売上高は前年同期比18%増の193億円となったが、研究開発費が増え純利益は2%減の12億円だった。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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