大阪大学の研究グループは胃がん患者に対して、アナモレリンの効果を調べた

大阪大学の研究グループは、がん患者の体重や骨格筋量などが減る「がん悪液質」に対して国内で承認を受けている「アナモレリン」という薬剤が、患者の栄養状態やQOL(生活の質)の改善につながっていることを臨床研究で明らかにした。化学療法などによる食欲不振や吐き気などの副作用も抑えられたという。

がん悪液質は、がん細胞が増えることで、患者の食欲不振に伴う栄養不足や全身の衰弱などが起きる合併症のことを指す。進行性のがん患者の多くでみられる症状で、患者のQOLを大幅に低下させることが分かっている。

大阪大学の土岐祐一郎教授らは、胃がん患者約200人に対して、アナモレリンを投与したグループとしなかったグループで体重の変化や栄養状態、食欲などを比較した。アナモレリンを投与したグループでは化学療法に伴う食欲不振などの副作用の発生率が低下し、食欲の改善などが示されたという。

アナモレリンは日本人研究者が1999年に発見した消化管ホルモン「グレリン」と同様の働きを持つ。土岐教授は「グレリンは日本で発見された物質だ。医師や患者に、この薬剤の効果についてもっと知ってほしい」と話した。研究成果は23日付の英科学誌に掲載された。

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