パラマウントベッドの寝具

寝具大手のパラマウントベッドホールディングス(HD)は24日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表した。創業家がTOB(株式公開買い付け)などを実施し、全株式を取得する。買収総額は1384億円となる見通しで、東証プライムへの上場は廃止となる。中長期の視点で売り切り型の事業モデルからサービスなど継続的に稼ぐビジネスモデルへの転換を図る。

TOB価格は1株3530円で、24日終値(2671円)より32%の上乗せ幅(プレミアム)となる。買い付け期間は25日から11月17日まで。創業家の資産運用会社傘下のTMKR(東京・江東)がTOBを手掛け、創業家出身の木村友彦社長が引き続き経営に関わる。パラマウントベッドはTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを表明した。

同社の創業家は合計で38.05%の株式を保有している。TOBで新たに約37%以上の株式を取得し、保有比率を4分の3以上に引き上げる。TOB成立後に少数株主の株をスクイーズアウト(強制買い取り)するなどして全株を取得する。

パラマウントベッドは医療・介護施設向けのベッドが主力で、介護用ベッドのレンタルや介護の見守り支援システムなどの利用料によって収益を継続して得るリカーリング事業を重点施策に掲げる。

主要顧客の医療・高齢者施設は人手不足や光熱費・資材価格の高騰を受けて設備投資を絞っており、ベッドの販売数が落ち込んでいる。中国やインドネシアなど海外向けの医療事業の案件も低迷する。

従来の売り切り型の事業モデルからの転換には、「短期的な利益確保に左右されない経営判断が求められる」(同社)と判断。株式を非公開化することで、中長期的な視点での先行投資や構造改革などを実施する考えだ。株式の非公開化後はM&A(合併・買収)を通じ、患者や入居者の情報を自動的に記録するソフトウエアの開発などを進める。

パラマウントベッドは1947年に創業し、病院向けベッドの製造販売を始めた。62年に電動ベッドの販売を開始し、現在も医療、介護用ベッドを主力製品とする。93年に東京証券取引所市場第二部に上場し、現在はプライム市場銘柄となっている。

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