記者会見する全国軽自動車協会連合会の赤間俊一会長(8月、東京都港区)

中国の電気自動車(EV)大手比亜迪(BYD)が2026年後半にも日本の軽自動車市場に参入する。軽自動車販売の業界団体、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の赤間俊一会長は「参入は歓迎する」としたうえで、「条件がそろえば一緒になって頑張る」と期待感を示した。

――26年にBYDがEVで軽自動車市場に参入します。

「参入はウエルカムだ。昔は(旧ダイムラークライスラー系の)『スマート』が軽を造ったこともあり、(市場を)閉ざしているわけではない。我々の業界に入りたいということであれば、条件がそろったところで一緒になって頑張りましょうとなる」

「軽EVは日産自動車と三菱自動車、ホンダが出して、25年度中にスズキ・ダイハツ工業・トヨタ自動車が商用で出す。BYDも参入し、軽の市場でEVが盛り上がってくる。社会としてEVの普及を目指すのであれば期待する動きだ」

――欧州でも軽に近い規格の導入が検討されています。

「欧州からも軽のサイズがEVにマッチしているという声が出ている。日本は軽自動車があるから二酸化炭素(CO2)を削減できたと評価されている。もし、欧州のメーカーが軽を目標にして同じような車を造るのであれば感謝すべきこと」

「日本のメーカーは軽をベースに世界に展開してもいい。アジアでは軽よりエンジンを少し大きくして受け入れられた。スズキはパキスタンで軽を造っている。世界中どこでも軽が認められてきているのはうれしい」

――軽自動車の需要はどうみていますか。

「24年度は2年ぶりに前年度を上回ったが物価高による購買マインドの減退が表れており、新車販売の見通しを楽観的に見るのは少々厳しい状況だ。6月にはダイハツから3年ぶりの新型車の発表があり、市場の活性化に期待したい」

――27年6月まで会長を続投します。

「昨年12月に(スズキ元社長の)鈴木修さんが亡くなられた。メーカーの立場で陰ながら軽自動車の制度を守ってきたところを見てきた。今年は税制の山場でもあり、何とか軽自動車のためになるように動いていきたい」

(聞き手は田中颯太)

あかま・しんいち 81年(昭56年)法政大経営学部卒、鈴木自動車工業(現スズキ)入社。19年常務役員東京支店長。21年参与。19年からスズキ自販東京会長を兼務。宮城県出身。

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