
三重県内で歯科技工士の不足が懸念されている。県内の開業医などで構成する県保険医協会がこのほど公表したアンケート結果によると、入れ歯やかぶせ物を作る歯科技工所の84・3%にあたる43施設が「後継者がいない」と答えた。高齢化社会が進む中、入れ歯が作れなくなる可能性もあり、協会は記者会見を開いて「担い手不足が心配だ」と危機感をあらわにした。
アンケートは昨年9~10月に実施。健康保険が適用される県内の歯科技工所273施設に依頼し、51施設から回答があった。
そのうち「後継者がいる」と答えたのは9・8%の5施設、「5年後には技工士をやめていると思う」と回答したのは23・5%の12施設に上った。
また、「1週間の労働時間」は70時間以上が21・5%の11施設で、うち3施設が90時間以上だった。
それでも「技工士の可処分所得」は68・6%の35施設で500万円以下にとどまっており、39・2%の20施設は300万円以下だった。
自由記述では「国家資格の職業とは思えない。月何十時間働いても給料は20万円」「待遇が良くないため他業種に転職を考えている状態」など長時間労働や待遇面での不満が多く寄せられた。
鵜飼伸・協会副会長は記者会見で「口の健康が体全体の健康につながる。担い手が減ることによって患者さんにも影響が及びかねない」と話した。
協会は8月28日付で診療報酬の引き上げなどを国に要請している。【渋谷雅也】
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