ニデックは26日、2025年3月期の有価証券報告書を関東財務局に提出した。海外子会社で関税の支払い不備がみつかり、6月末の提出期限を延期していた。グループ内でほかにも不適切な会計処理の疑いがあり、第三者委員会で調査している。監査法人のPwCジャパンは十分な監査証拠が得られなかったとして、有報の適正性について「意見不表明」とした。

ニデックは9月3日、ニデック本体およびグループ会社において不適切な会計処理の可能性のある事案が見つかったと発表した。経営陣が関与または認識した上で、不適切な処理に関わったと解釈しうる資料を発見したとしている。

経営者が作成した有価証券報告書に対して監査人が出す監査意見には4種類あり、いずれかの意見を表明することになっている。最も多いのは財務諸表に注意喚起なしのお墨付きを与える「無限定適正意見」で、日本公認会計士協会によると「すべての重要な点において適正に表示している」ことになる。

監査上の懸念点がある場合の意見は、その事項の及ぼす影響の範囲や原因によって3種類に分けられる。重要な原因の事項だが、影響が広範囲でない場合は対象が限定された「限定意見」が出される。一部分について経営者と監査人との間で見解の相違が起こっている場合などが該当する。

原因が重要かつ影響が広範囲にわたる場合には原因の性質により意見が分かれる。財務諸表に重要な虚偽表示があり、経営者の関与などで影響の範囲が多岐にわたる可能性がある場合、監査人は「不適正意見」を出す。

天災やサイバー攻撃などで十分な証拠が入手できず、虚偽表示となる可能性がある場合、「意見不表明」となる。

監査意見は企業の上場維持にも影響を及ぼす。不適正意見または意見不表明の有報が提出された場合、東京証券取引所から改善報告書の提出を求められたり、特別注意銘柄に指定されたりする場合もある。特別注意銘柄に指定後、原則として1年後の審査までに内部管理体制などが改善見込みがないと判断される場合、上場廃止となる。

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