創薬スタートアップのHeartseed(ハートシード)は30日、iPS細胞を用いた心不全の再生医療についてデンマークの製薬大手ノボノルディスクから提携契約解消の通知を受け取ったと発表した。2021年に製品の開発段階に合わせて最大5億9800万ドル(約650億円、当時レート)のマイルストン収入を受け取る契約を結んでいた。25年12月期の業績予想に修正はないとしている。
11日に発表した24年11月〜25年7月期決算では、8月にマイルストンを達成したため約11億円を受け取る予定としていた。中間決算で計上した19億円と合わせ、通期でのマイルストン収入は約30億円を見込む。提携解消後はマイルストン収入を得られなくなる。今後は新しい提携先を検討する。
ノボノルディスクは肥満症治療薬「ウゴービ」などが主力製品で、糖尿病や肥満向け事業を強化する戦略を掲げる。今回の提携解消について同社からは「他分野の戦略見直しに伴うものであり、Heartseedの開発品に起因するものではない」と説明があったという。
ノボはウゴービの成長ペースが鈍っていて、25年12月期は業績の下方修正が続く。10日には全世界の従業員数の約1割に相当する最大9000人の人員削減を実施すると発表していた。
提携解消により、Heartseedは製品開発や製造販売に関する全世界での権利を保持する。同社は現在、重症の心不全患者にiPS細胞から作った心筋細胞を移植する再生医療の臨床試験(治験)を国内で実施している。提携解消による治験への影響はないという。
日本ライフラインが開発するカテーテルを使った負担の少ない移植法についても、26年にも国内で治験を始めるとの目標に変更はないとしている。
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