
JERAは30日、首都圏と中部圏で運転を止めていた火力発電所計5基を廃止したと発表した。運転開始から40年以上たった古い設備で、これまでは供給が足りなくなったときの緊急電源として使っていた。ガス火力の新設・建て替え工事で首都圏や中部圏の供給力を増やしており、供給力確保にめどがたったとして廃止を決めた。
東京電力管内では姉崎火力発電所5、6号機(千葉県市原市)、袖ケ浦発電所1号機(千葉県袖ケ浦市)、広野火力発電所2号機(福島県広野町)、中部電力管内では知多火力発電所5号機(愛知県知多市)を廃止する。
5基の容量は計325万キロワットで、30日午前に送電線との接続を切断した。広野火力は石油を燃料とする火力発電所で、廃止によってJERAが首都圏で保有する石油火力はなくなる。同火力は1〜4号機全ての廃止が決まっており、解体を含めて跡地の利用方法を検討する。残りの発電所は建屋を当面維持する。
JERAは2020年度以降に既存火力の建て替えや新設を本格的に始め、これまでに730万キロワット分の電源を確保してきた。知多火力や袖ケ浦火力では30年ごろから増強工事を始める準備を進めており、一部の火力を廃止しても十分な供給力は確保できるという。
国内の火力発電所を巡っては脱炭素や維持費を削減するため老朽化した設備を廃止する動きが相次ぐ。関西電力は石油火力発電所の御坊発電所(和歌山県御坊市)1、2号機の廃止を決めたほか、Jパワーも国内の石炭火力のうち5基を30年度までに休廃止する方針を掲げる。
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