
三菱重工業は9月30日、東京証券取引所スタンダード市場に上場する子会社でフォークリフト大手の三菱ロジスネクストを投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却すると発表した。JIPはTOB(株式公開買い付け)を通じて三菱ロジス株を取得し三菱重工の持ち分約64%も買い取る。JIPの買収総額は約1300億円になる見込み。三菱重工は事業の見直しを進めて親子上場も解消し、資本効率を高める。
公開買い付け価格は1株あたり1537円。9月30日の終値(1815円)を約15%下回る。TOBの開始時期は12月下旬を予定しており、全株式が取得できなかった場合はスクイーズアウト(強制買い取り)を実施する。三菱重工は持ち分を売却した後、300億円を再出資する。
三菱ロジスは9月30日、JIPによるTOBに対し賛同を表明した上でTOBに応募するかどうかは株主の判断に任せるとした。買い付けが完了すれば同社は上場廃止となる。
三菱重工は売却により300億円の事業再編損失を計上する。売却決定を受け三菱重工は、2026年3月期連結決算(国際会計基準)の見通しを純利益で2300億円、売上高に当たる売上収益で4兆7500億円とそれぞれ300億円と6500億円下方修正した。

三菱ロジスは2017年、ニチユ三菱フォークリフトとユニキャリアが経営統合して発足した。2025年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比77%減の17億円となり、売上高は4%減の1596億円だった。国内は比較的堅調なものの、主力の米国市場が景気の不透明感から苦戦しており減収減益となっていた。
三菱ロジスはJIP傘下となることで投資資金を確保し、フォークリフト首位の豊田自動織機の背中を追う。三菱重工は成長領域とする自動倉庫など「物流ソリューション事業」で三菱ロジスと協業している。再出資により三菱ロジスとの関係は残したうえで、自社の事業構成を改める。
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