双日の内定式で内定通知書を受け取る内定者代表(右)=1日午前、東京都千代田区

国内主要企業が1日、2026年春入社予定の学生らを集めて内定式を開いた。就職活動で学生優位の「売り手市場」が続き、採用直結型インターンで早期に内定を得た学生も多い。内定式は経営トップの思いや社内の雰囲気を伝え、不安を払拭して入社への納得感を醸成する重要な機会となっている。

双日は同日午前、都内の本社で内定式を開催した。内定者約140人が緊張した面持ちで参加した。登壇した小倉茂人事担当本部長は「商社は真の課題をしっかり見つめて解決することで新しいビジネスを生み出してきた。失敗もあると思うが、そこから学んで常に進化、成長していく商社パーソンになってほしい」と内定者にエールを送った。

NECは都内の本社で午前と午後の2回に分け、内定式を開いた。午前の式には内定者約800人のうち約400人が参加した。登壇した堀川大介執行役は「挑戦する社員が今のNECをつくっている。次のAI(人工知能)の時代にチャレンジしていくのがみなさんだ」と激励した。

森田隆之最高経営責任者(CEO)のAIの分身が登場したNECの内定式(東京都港区)

森田隆之最高経営責任者(CEO)のAIの分身もエールを送った。森田CEOのAIは内定者から「社長に選任されたのはどのような点が評価されたからか」と尋ねられ、「信頼を積み重ねた結果だ」と答える場面もあった。内定者同士の交流会を設け、入社前のコミュニケーションを促した。

ノジマは横浜市内でキャリアショップ運営のコネクシオ(東京・港)など子会社4社と合同で内定式を開いた。計約900人の内定者が参加した。登壇したノジマの野島広司社長は「会社には人を育てていこうという気持ちがある。夢と向上心を持って入社し、しっかり勉強してほしい」と述べた。

就職情報サービスの学情が8〜9月に26年卒の学生を対象に実施した調査(複数回答)では、内定式のコンテンツとして学生の84%が「同期との交流」を望み、半数が「入社1、2年目の社員との交流」があるとうれしいと答えた。入社先の企業や同期とのつながりを重視する傾向がうかがえた。

就活の長期化が進むなか、企業には学生との関係構築に向けた丁寧な姿勢が求められる。マイナビによると6〜7月時点で複数社の内々定を持つ学生は38%と、25年卒に比べ21ポイント低下した。ただ、内定辞退に悩む企業は多く、内定者が企業理解を深めるためのコミュニケーションが新卒人材のつなぎとめに欠かせない。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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