米アクシオム・スペースの宇宙飛行士兼最高技術責任者(CTO)の若田光一氏㊧とレゾナックHDの福島正人CTO

レゾナック・ホールディングス(HD)は1日、米宇宙企業アクシオム・スペースと半導体材料の製造や研究開発での連携に向け覚書を交わしたと発表した。宇宙空間での利用に適した材料の開発や、宇宙の環境を生かした材料製造を目指して実験などを行い、将来の商用化を狙う。

アクシオムには宇宙飛行士の若田光一氏が幹部として所属する。若田氏は宇宙に日本人最多の5回訪れ、国際宇宙ステーション(ISS)船長に日本人で初めて就任した。2024年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職しアクシオムに転じた。

アクシオムは30年ごろのISS退役後に向け、民間宇宙ステーションを開発している。重力が微小で真空な宇宙空間では、半導体結晶や樹脂などを作った場合に地球上と比べ欠陥が発生しにくいという。宇宙の特徴を生かし、半導体や半導体の組み立てに使われる材料の研究開発・製造で協力する。

25年秋にもレゾナックが開発した半導体材料の評価試験をISSで行う予定だ。半導体チップの保護などに使われる封止材で、宇宙ステーションの内外で試作品を評価する。材料の打ち上げや実験はアクシオムが担う。

宇宙空間では降り注ぐ宇宙線によって中性子が発生すると電子機器の誤作動につながることがあるため、演算能力が低い半導体が使われている。レゾナックが開発した封止材は中性子を一定程度吸収できるという。封止材の効能で誤作動を減らせれば、地球上と同様に高性能な半導体を電子機器に使えるようになる可能性がある。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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