日本製鉄と高エネルギー加速器研究機構（KEK）の共同研究グループは放射光X線顕微鏡を使い鉄鉱石の水素還元メカニズムに関し新たな知見を得たと発表した。大きさが数十マイクロ（マイクロは100万分の1）メートルの鉄鉱石内の鉄の化学状態が還元でどう変化するかを、50ナノ（ナノは10億分の1）メートルのスケールで観察することに成功したという。二酸化炭素（CO2）排出量を低減した製鉄法開発につなげる。
研究成果は専門誌「Acta Materialia」のオンライン版に掲載された。熱力学計算と合わせ考察し、還元温度の違いにより反応モードが大きく変わることを発見した。従来の鉄鋼製造では石炭由来の一酸化炭素で鉄鉱石を還元するため、大量のCO2を排出する。これに対し水素による還元は環境負荷の少ない代替手法として注目されている。
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