
日立製作所は2日、次世代の計算機である「量子コンピューター」の開発について、理化学研究所などと協力のための基本合意書(MOU)を締結したと発表した。2027年度にシリコンを使うタイプの試作機を開発してクラウド上で使えるようにする。量子コンピューターは国内外で開発競争が激化しており、産学連携で実用化を目指す。
日立製作所と理化学研究所、ベルギーの半導体研究機関「imec」の3者でMOUを締結した。3者はシリコン方式の量子コンピューターの開発を目指す。27年度の試作機公開後には、計算素子である「量子ビット」を約100個搭載したより大きな計算機を28年度に完成させ、30年度には1000量子ビットまで拡張する。また量子コンピューターの計算精度を高めるためにエラーを低減する「誤り訂正」の機能も実装する。
シリコン方式はシリコンで微細な量子ビットを作成し、絶対零度に近い温度まで冷却して操作する。計算性能を安定させやすく、1台の冷凍機に多くの量子ビットを集積して高性能化しやすい。製造に半導体の加工技術を応用できる。一方、量子ビットの制御が難しく、正確な操作の実現には課題がある。
開発を主導する日立製作所の水野弘之技師長は「量子コンピューターは専門家の予想を超えて世界で技術開発が進んでおり、ここが日本の踏ん張りどころだ。35年には事業貢献できるような形で提供できるのではないか」と話した。
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