記者会見した3社の代表者。三井物産の越田誠・量子イノベーション室長㊥(19日、東京都千代田区)

三井物産は19日、新素材・医薬品開発に用いる量子コンピューターの計算ソフトを発売したと発表した。米スタートアップのクオンティニュアムやキューシミュレートと共同で開発した。量子計算機を用いた素材開発は高度な技術が必要になる。一般のコンピューターと組み合わせることで、計算しやすくした。

量子コンピューターは複雑な計算を高速処理できるものの、膨大なデータの処理に対応したタイプはまだ実用化していない。三井物産などが開発したソフト「QIDO(キド)」は従来型のコンピューターで初期の計算を手がけ、必要な部分だけ量子コンピューターで計算する。

同日、都内で記者会見した三井物産の量子イノベーション室の越田誠室長は「量子コンピューターで材料開発が大きく進展する期待はあるが、まだ技術的に未完成な部分もある。現在の産業ニーズに応えられるようなサービスを意識した」と説明した。

三井物産の取引先の化学品メーカーに売り込む。キドを活用して新素材を開発できた場合、三井物産は販路拡大といった協業も提案する。まずは日本国内の企業から開拓し、将来的には海外企業への展開も検討する。

三井物産は2022年にクオンティニュアムと業務提携し、24年には約72億円を出資している。

BUSINESS DAILY by NIKKEI

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