
東京電力ホールディングス傘下で送配電事業を担う東京電力パワーグリッドは6日、東京都内の地下変電所で導入を進めている四足歩行ロボットを公開した。扉の開閉ができて物を拾えるアーム付きを設備点検に活用するのは国内電力会社として初めて。今年度中に試験運用を終え、2026年度以降の実用化を目指す。
導入したロボットは米ボストン・ダイナミクス社製の「スポット」。24年度から事前検証を進め、専用の無線インターネット環境の構築を終えた今年7月から新宿区の東新宿変電所で月数回稼働させている。
他の電力会社でも四足歩行ロボの導入実績はあるが、複数の部屋に出入りする必要があり、アーム付きを採用した。今後は点検の対象範囲を広げた上で、撮影の精度や長期運用時のトラブルなどの検証を進める。
導入の背景には作業員の減少と高齢化がある。例えば、半期に1度の点検作業は2人で半日以上かかるが、ロボットなら1台で代替でき、人員が減っても作業水準を下げずに効率化できる。練馬区の制御室から遠隔操作も可能で、火災などのトラブルの初期対応での活用も想定する。
担当者は「対応の迅速さや作業員の安全も高められる。高齢化や人手不足は、今から取り組まないと手遅れになってしまう」と述べた。【中島昭浩】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。