
電動キックボードなどのシェアリング事業を手掛けるLuup(ループ、東京・品川)は8日、警察と連携して危険な走行を減らすための対策を強化すると発表した。禁止区域の走行や逆走など交通違反をした利用者の情報を警察から受領できるようにする。悪質な場合は利用を制限するなど安全な交通環境を整え、普及につなげる。
11月7日付で利用者規約を変更し、警察がループへ違反者情報を共有できるようにする。歩道の走行や逆走のほか、信号無視などすべての交通違反が対象で、警察から違反した日時や場所、内容などの報告を受ける。規約を変更する以前の違反などは対象外とする。
従来は信号無視などの交通違反を警察官が取り締まっても、ループ側に報告するかは利用者が任意で選ぶことができた。このため、警察がループ側に情報提供するのは飲酒運転をはじめとする悪質な利用に限っていた。

警察との連携を強化するのは、同社が危険運転などを減らす目的で2024年に運用を始めた「交通違反点数制度」の実効性を高める狙いがある。例えば、一定の点数を越えると30日間の利用停止となるなど、違反の内容や頻度に応じて点数が加算され、利用が制限される仕組みだ。
従来はループ側がすべての交通違反を把握するのが難しかった。規約変更を通じて警察との連携を深めることで、例えば違反行為を繰り返す利用者を無制限で利用禁止にするなど一段と厳しい措置を取れるようになる。

ループは18年に創業したスタートアップで、国内で電動キックボードの普及をけん引してきた。足元では車両を止めるポートの数が約1万5200カ所、運用する車両数は約3万台にまで成長した。
一方、利用者数が増えるにつれて交通違反者も増えている。一定の条件を満たせば免許なしで電動キックボードに乗れる改正道路交通法が施行された23年7月から24年6月の1年間で、取り締まり件数は2万件を超えた。

警察側はループ側の要望や危険運転の増加を踏まえ、幅広い違反者情報の提供が公益に資すると判断したようだ。ループは情報の共有に同意をしない利用者は、車両の利用自体ができなくなるようにする。同社は「個人情報保護法などの観点からも問題はないことを確認している」と説明している。
危険走行などのイメージが定着すると、更なる普及を目指す上での足かせとなる。ループは1月には首都高速道路に侵入した利用者のアカウントを凍結するなど対策を講じてきた。同社の担当者は今回の取り組みを通じて「(違反の減少など)大幅な改善を見込んでいる」と話した。
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