
人工知能(AI)開発のオルツ=8月に上場廃止=の不正会計問題で、東京地検特捜部は9日、決算を粉飾した疑いがあるとして、同社元社長の米倉千貴容疑者(48)や前社長の日置友輔容疑者(34)ら4人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。
特捜部はオルツの旧経営陣が売り上げを過大計上する循環取引を関係企業に持ちかけたとみている。証券取引等監視委員会と連携し不正の全容解明を進める。

オルツは2024年10月に新規上場したが、25年4月に売上高の過大計上に関する疑惑を公表した。第三者委員会の調査報告書によると、同社は架空売買で資金のみが動く循環取引をして売り上げを水増ししていた。
オルツは広告宣伝費として広告代理店4社に計約138億円、研究開発費として2社に計約16億円を支出。その後、広告代理店を経由してサービスの販売委託先から架空の売上代金にあたる計約137億円を回収する循環取引をしたとされる。
循環取引により、21〜24年の売上高は最大9割が過大計上だった。同社は25年7月30日付で東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、8月6日に再生手続き開始の決定を受けた。

オルツの新規株式公開(IPO)時に会計監査は監査法人シドー、主幹事証券は大和証券が務めた。報告書はオルツ側がそれぞれに虚偽の説明や書類提出をしたとも指摘した。
14年設立のオルツはAIを活用して事業展開し、テレビ会議の発言を自動で記録する議事録作成サービス「AI GIJIROKU(AI議事録)」を主力としていた。同社は25年10月末でサービスを終了すると発表した。
金商法は公正な市場を守るため上場企業の開示資料への虚偽記載を禁じる。有価証券届出書や有価証券報告書の虚偽記載の罰則は10年以下の拘禁刑か1000万円以下の罰金、またはその両方と定める。7億円以下の罰金とする法人の両罰規定もある。
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