三井不動産は9日、建築費抑制や労働力不足解決などに資する事業を手掛ける企業を対象としたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を立ち上げたと発表した。2件のファンドで投資規模は総額200億円。新規事業の開発につなげ、不動産業との相乗効果や収益基盤の拡大を狙う。

10月1日付でベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレインと共同で設立した。

1件目は投資規模150億円で、創業直後のアーリー期(初期)以降のスタートアップを対象に10〜20社への出資を見込む。運用期間は10年を予定する。建築費高騰や労働力不足といった不動産業界の課題解決のほか、エンターテインメントなどの事業領域を狙う。

もう1件はエネルギーや次世代モビリティー、宇宙産業など長期での支援が必要な領域を対象とする。規模は50億円で期間は15年。三井不動産は、これらCVCを通じた出資先を将来的にM&A(合併・買収)でグループに入れることも視野にある。

同社は2015年以降に総額435億円のCVCを設立し、約80件の出資を通じてスタートアップと190件の実証実験に取り組んだ。

22年に出資した電子商取引(EC)事業者向けの顧客管理ソフトウエアを開発するSUPER STUDIO(スーパースタジオ、東京・目黒)とは、商業施設の商品をまとめて試着できるサービスを開発。同社を持ち分法適用会社にした。

三井不動産は30年度までの長期経営方針でM&Aに4000億円以上、スタートアップ出資に1000億円以上を充てる方針を示している。今回のCVC設立もその一環となる。

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