法律出版社2社などが「法律書デジタル図書館」のサービス差し止めなどを求めて提訴した(15日午後、東京・霞が関)

法律出版社の商事法務(東京・中央)などは15日、出版物の無断使用で著作権を侵害されたとして、法律書閲覧サービス「法律書デジタル図書館」を運営する一般社団法人(東京・千代田)に対し、サービスの差し止めなどを求めて東京地裁に提訴した。2023年の著作権法の改正で可能になった図書館資料のデジタル送信の仕組みを「悪用するものだ」と主張している。

23年6月施行の改正著作権法で、図書館の蔵書データはオンライン申請すればメールで受け取れるようになった。図書館側は利用するページ数などに応じ、専門団体を通じて権利者への補償金を支払う。営利目的は認められていない。

原告は商事法務と第一法規(東京・港)の出版社2社のほか、東京大学の中山信弘名誉教授ら両社での著作がある法学者4人。

訴状などによると、法律書デジタル図書館は会員制の私設図書館として設立され、25年2月にサービスを始めた。2万冊以上の蔵書から検索で読みたいページを特定すればPDFファイルで即時に送る仕組みだ。利用者の年会費は約13万円で、1回の利用について250円の手数料と補償金を支払う。

法律書のデジタル閲覧サービスは新型コロナウイルス禍を機に弁護士や企業の法務部門からの需要が高まった。国内の既存の大手事業者は出版社や著作権者と交渉し許諾を得て運営している。出版社側は法律書デジタル図書館について「営利事業であり、正規の許諾を得ているサービスと競合し、著作権者の利益を不当に害している」としている。

法律書デジタル図書館は「サービスは適法であり、著作権侵害は一切存在しないと確信している。今後は訴訟で考えを誠実に主張していく」とするコメントを発表した。サービスは停止せず継続するという。

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