
出光興産は17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が21日に打ち上げる予定の輸送機に太陽電池を取り付けると発表した。宇宙空間での発電性能や放射線耐性を約2カ月間、確かめる。宇宙開発の市場が広がっていることから、衛星の電源として使える太陽電池の開発につなげ、数年以内の事業化を目指す。
宇宙ステーションに物資を運ぶJAXAの「HTV-X1」に2センチメートル四方の太陽電池を2枚、取り付ける。銅やガリウムなどの化合物でつくった「CIGS太陽電池」と呼ぶもので、宇宙空間の放射線や温度の変化に強い特長を持つ。
今回の実証では補給機の電源としては使わないものの、発電や耐久性に関するデータを集める。補給機が宇宙ステーションに6カ月ほど滞留した後、地球への帰路で性能を検証する。
出光によると、宇宙用の太陽電池は出力1ワットあたり200〜300ドルと、地上用の数千倍、高い。性能を高めるほか生産コストを抑える方法を探る。国内外の人工衛星メーカーに売り込む。
出光興産は子会社のソーラーフロンティア(東京・港)で2007〜22年に地上用の太陽光パネルを生産していた。中国企業とのコスト競争に敗れて製造から撤退したものの、太陽電池の知見が生かせるとみて宇宙用で再起を目指す。将来的には宇宙でつくった電気を地上に送る技術「宇宙太陽光発電」への応用も狙っている。

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