連携協定を締結した4者の代表者(左から2人目が塩谷町の見形町長)

住友林業とNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は17日、栃木県塩谷町と連携協定を結ぶと正式に発表した。国による二酸化炭素(CO2)排出枠「J―クレジット」の創出事業を始める。町が森林所有者からクレジットの権利を譲り受け、両社が運営するサイトで排出枠を求める企業などに販売。売却益の一部を所有者に還元する。

両社と塩谷町は町内の森林を管理するたかはら森林組合(同県矢板市)とも連携する。組合は森林情報の提供などを行う。同日、記者会見した塩谷町の見形和久町長は「これまで大きな企業と事業に取り組んだ例はなく、今後も様々な課題解決に向け企業の力を借りる方向で進めていきたい」と話した。

塩谷町は住友林業などと連携し、森林クレジットの創出事業を始める

塩谷町は森林由来のJ―クレジット(森林クレジット)を創出するため、住友林業とドコモビジネスが手掛ける「森林価値創造プラットフォーム(森かち)」を活用する。森かちは森林クレジットの創出や審査、取引をネット上で一貫して支援するサービスだ。

クレジット創出者は森かちのサイトで入力ガイドなどを参照しながら、必要なデータや地理情報を打ち込めば申請書類を作成できる。森かちの担当者からコンサルティングも受けられる。クレジットの販売ページを作成し、購入を検討する企業などにPRすることも可能だ。

町内の私有林は約2000ヘクタールあり、住友林業は森林所有者約380人を対象にクレジット発行権を譲渡するかどうか意向を調査する。2027年のクレジット販売を目指す。クレジットの売却益の一部を所有者に還元する。塩谷町は町有林約160ヘクタールでも同様にクレジットを創出・販売する。町有林だけで見込める年間200万円程度の収益は、森林整備や環境対策事業にあてる。

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