

業界で唯一、電気式床暖房を備えた浴室として「ヒートセーフstyle」の販売を7月から始めた。入浴時の転倒や急激な温度変化によって健康被害をもたらすヒートショックなどを解消する。毎日の生活パターンに合わせて浴室の床暖房を事前に暖めておくことで、洗い場で寒さを感じにくくできる。
希望小売価格は158万5000円(税別)から。従来の浴室モデル「ほっとビバス」と比べて11%安くした。浴室に鏡やカウンターをつけないなど簡素化し、価格を抑えた。電気式床暖房の電気料金は1人当たり年740円程度を想定している。

シニア層を念頭に戸建てリフォーム需要を取り込むほか、老人ホームなど非住宅分野での展開も目指す。展示会などでの反響は良く、9月時点の見積もりベースでも床暖房の搭載率が上昇しているという。
同社は電気カーペット技術を浴室に応用し、浴室用の電気式床暖房を1990年に開発していた。ただ、標準装備ではなくオプションとしていたほか、価格も高かったことから思うように普及していなかった。2024年度に販売した戸建てバスルームでの搭載率は2%どまりだった。
今後3年以内に浴室のリフォームを検討する50〜70代の男女300人を対象にした同社によるインターネット調査では、半数以上が「家族のヒートショックや転倒が心配」と答えた。浴室に入った際、冷たい床や空気で体の緊張や震えを感じたことがあるという。作業療法士でもある大阪公立大医学部リハビリテーション学科の竹林崇教授の知見を参考にプランニングした。
浴室内の手すりには特許を取得した、横に長く水平で天面が約70ミリメートルと幅の広い手すり「おきラクスマート手すり」を取り入れた。手をかけたときに指の第二関節までかかる形状にし、滑り止めも設けた。
縦や丸形状の手すりに比べ、平面や横の移動に適しているという。つかみやすく、視線を保ちやすい。浴槽をまたぐときや椅子から立ち上がるときなど利用してもらい、浴室内で滑りにくくする。大阪公立大と手がけた高齢者施設での体験調査では床暖房の快適性について「入浴前に洗い場にお湯をまいてあたためる手間が減りそう」などの声が出ていた。
浴室を入浴や身体を洗うだけの場ではなく、入浴前のストレッチやヨガといった運動空間として活用してもらう。運動をして汗をかいている姿を見せたくないといった人の目を気にする利用者などにアピールする。
(伊藤陽萌)
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