宇都宮LRTはJR宇都宮駅東口と芳賀町を結んで2023年に先行開業した

宇都宮市は20日、次世代型路面電車「芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)」のJR宇都宮駅西側延伸について、国の事業認可に必要な「軌道運送高度化実施計画」案を公表した。開業時期を2036年3月とし、概算工事費は税抜き698億円(税込み約770億円)と見込んだ。沿線関係者への説明などを経て、実際の計画を29日に国へ申請する。

宇都宮LRTはJR宇都宮駅東口と市東部や芳賀町を結んで23年に先行開業した。36年に開業予定の延伸区間は、既設の「宇都宮駅東口」停留所から新設する「教育会館前」までの4.9キロで、12の停留所を設ける。

西側延伸計画は当初、開業時期を「30年代前半」としていた。24年11月の宇都宮市長選で、佐藤栄一市長が「30年」に前倒しする公約を掲げ、当選した経緯がある。市長は20日の議員協議会で「30年開業がかなわず、心からおわびする」と話した。

開業時期が市長公約から大幅に遅れるのは、想定していなかった道路の拡幅が必要で、追加の用地取得が必要になったためだ。駅の西側は東側よりも重要インフラの埋設物が多く、移設などにも時間がかかる。

概算工事費は税抜きで698億円とした。半額の349億円は補助金でまかなう。工事費のうち土木費が285億円と大きい。これは既設の東側と延伸する西側をつなぐために、南北に延びるJR東日本の鉄路をまたぐ工事費を含むためだ。このほか用地費が142億円、車両費が112億円、軌道費が70億円かかる。

運行計画では既設の東側と新設の西側を接続し、直通運転を行うとした。東西合わせた平日1日当たりの利用者数は約3万1500人、休日は約2万2500人と算定した。この需要予測に合わせ、新規に導入する車両は予備の3編成も合わせて14編成とする。車両の仕様は現行のものを基本にする。

開業初年度で黒字化した東側同様、西側も初年度での黒字化を見込む。延伸区間の開業前経費で生じる累積損失の解消は、開業12年目と試算した。

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