
NTTは20日、自社開発している生成AI(人工知能)の最新版について同日から提供を始めたと発表した。前のモデルに比べて日本語の処理性能を向上させたほか、金融など特定分野の知識を拡充して専門的な質問への回答精度を高めた。汎用的な生成AIよりも小型軽量で企業が社内でも運用できる点を強みに、機密データの社内管理といった利用を狙う。
NTTが提供を始めたのは生成AIの基盤となるLLM(大規模言語モデル)の「tsuzumi(つづみ)2」。2024年3月公開の前のモデルよりも日本語の長文読解力や複雑な文脈、意図といった部分の理解力を拡充した。島田明社長は改良の狙いについて「企業固有のノウハウが記載された社内資料の要約や検索などに活用したいとの要望に応えるためだ」と説明した。
加えて金融・医療・公共分野に関する専門知識をあらかじめ学習させた。これらの分野では少ない学習データでAIを利用できる状態まで調整できるようになった。
生成AIを巡っては企業や政府の機密情報を海外のクラウドサービスに送信することによる情報漏洩リスクが課題となっている。
つづみ2はLLMの計算処理に必要な大量の画像処理半導体(GPU)が1基でも動作する軽量さが売りだ。「オンプレミス(自社保有)」の環境で動かせるため、契約書や特許情報といった機密性の高いデータを外部に出さずに処理することが可能だ。
NTTは同日、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)と富士フイルムビジネスイノベーションがつづみ2を活用した企業向け生成AIサービスを共同で提供する検討を始めたことも明らかにした。
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