再販売における売り上げの一部は陶磁器など工芸品のメーカーや産地の団体へ還元する

工芸品を中心に生活雑貨を扱う中川政七商店(奈良市)は2026年1月下旬から、使われなくなった商品を回収して再利用する循環プログラムを開始する。同社は環境対応を進めており、公益性の高い企業を評価する国際認証「Bコーポレーション(Bコープ)」をこのほど取得した。循環プログラムにより持続可能な社会づくりへの取り組みを強化する。

第1弾として同社で販売した陶磁器(食器や調理器具など)を回収し、破損したり欠けたりした商品も対象にする。回収は全国で運営する店舗のうち一部を除く約60店の店頭で行う。

回収後、必要なら金継ぎなど修復して再販売する。再販価格は商品ごとに価値を見極めながら決定する。再販による売り上げの一部は工芸品のメーカーや産地の団体に還元する。修復が難しいものは粉砕などして原材料として再利用できるようにする。将来は陶磁器だけでなく衣類も回収対象にする考えだ。

使われなくなった商品を回収して再利用する取り組みはアパレル業界などで目立つが、工芸の業界では珍しい。中川政七商店の千石あや社長は「国内の工芸が今後も続くように支援したい」と話している。

中川政七商店が取得した「Bコープ」の認証マーク

Bコープは米国の非営利団体であるB Lab(ビーラボ)によって創設された認証制度だ。ESG(環境・社会・企業統治)に関心の高い企業から注目されている。中川政七商店は23年から認証取得に取り組み始め、25年8月に取得した。

Bコープは環境への配慮や経営の透明性などの観点で企業を評価する。国内ではネット中古本売買のバリューブックス(長野県上田市)など60社あまりが認証を取得している。海外では米アウトドア用品のパタゴニアなど約1万社が認証されている。

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