みずほリサーチ&テクノロジーズの対木さおり・主席エコノミスト

 高市早苗氏は首相に就任した21日夜、物価高への対応を含む経済対策の策定を指示した。経済政策にくわしいみずほリサーチ&テクノロジーズの対木さおり・主席エコノミストに評価を聞いた。

 即効性のある物価高政策としてガソリンの暫定税率の廃止やガス・電気代の補助金などの政策が検討されているが、気になったのは地方自治体向けの交付金だ。高市氏は地域のニーズに合わせて活用できる点をアピールし、赤字の中小企業や農家への支援などでの活用を想定する。「バラマキ」と不評だった現金給付の代わりに出てきた政策だが、職員の少ない自治体にとっては使途を含めて活用を委ねられるのは負担が大きい。自治体ごとに活用方法が異なれば、高市氏が訴えるワイズスペンディング(賢い支出)にとって欠かせない事後の政策の効果検証がしづらいという難点もある。

 また高市氏は「強い経済」の実現のため危機管理投資を進める方針を示したが、投資の方針においてもワイズスペンディングの考えが必要だ。効果的な投資になるよう、投資先にKPI(業績評価指標)や撤退基準などをあらかじめ設定することが重要だ。

 高市氏は、積極的な財政支出による経済の活性化を通じて税の増収も実現する姿を目指しているのだろうが、中長期的な安心がなければ消費は喚起されない。足元の物価高対策を優先していると思うが、社会保障の改革も並行して進めてほしい。【聞き手・加藤結花】

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