細胞療法の研究開発中止に伴う減損やユーロ高などで通期純利益予想を下方修正した

武田薬品工業は30日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比42%増の1530億円になる見通しだと発表した。約2.1倍の従来予想から750億円引き下げた。製品開発の優先順位を見直し「細胞療法」の研究開発を中止することに伴い、減損損失を計上することが響く。競合品との競争が激しくなっていることの影響も受ける。

為替市場でユーロが他の通貨に対して従来想定よりも高く推移すると見込んだことも利益の押し下げにつながる。修正後の純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、2373億円)を下回った。

売上高にあたる売上収益は2%減の4兆5000億円、無形資産の償却費や減損損失などを除いた「コア営業利益」は3%減の1兆1300億円になると見込む。それぞれ300億円、100億円下方修正した。

腸炎治療薬「エンティビオ」は競争が厳しくなる。注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセ」は競合品となる後発薬の広がりが想定を上回る。減益影響の一部は組織のスリム化などの経費削減で相殺する。

同日発表した2025年4〜9月期の連結決算は、売上収益が前年同期比7%減の2兆2194億円、純利益が40%減の1124億円だった。ビバンセの減収や減損が重荷となった。

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