米カード利用は堅調=ロイター

【ニューヨーク=佐藤璃子】主要な米クレジットカード会社の2025年7〜9月期決算が出そろった。足元で高まる景気不安に反し、軒並み市場予想を上回る好調な業績を示した。特に高所得層の支出が全体の堅調消費を支えており、高級カードの需要増加などが見られた。

米カードネットワーク大手のビザの売上高は前年同期比12%増の107億2400万ドル(約1兆6500億円)、純利益が4%減の50億9000万ドルとなった。マスターカードの売上高は17%増の86億200万ドル、純利益は20%増の39億2700万ドルと増収増益だった。

堅調なカード支出が業績を支え、いずれも1株当たり利益(EPS)、売上高ともに市場予想を上回った。マスターカードのマイケル・ミーバック最高経営責任者(CEO)は「おおむね良好なマクロ経済環境を受け、支出は堅調に推移している。インフレ率は比較的安定し、労働市場はバランスを保っている」と指摘した。

特に高所得層の支出が堅調消費を支えている。ビザは高額カード利用者が成長をけん引しているとし、今後さらなる富裕層向けサービスの強化を図っていくと説明した。

主要なカード発行会社でも同様に、市場予想を上回る業績の伸びが示された。米銀キャピタル・ワン・ファイナンシャルは売上高が前年同期比53%増の153億5900万ドル、純利益が同80%増の31億9200万ドルだった。カード大手のディスカバー・ファイナンシャル・サービシズの統合に伴い純利息マージン(NIM)が拡大。最大160億ドルの自社株買い方針を示した。

高所得層の顧客が多いアメリカン・エキスプレス(アメックス)は、売上高が11%増の184億2600万ドル、純利益が16%増の29億200万ドルとなった。9月に年会費を695ドルから895ドルに引き上げると発表した米国向けプラチナカードの新規顧客数が急伸した。

ファーストクラスなど高単価な前方座席への支出で顕著な伸びが見られたとも説明した。労働市場の軟化や関税政策によるインフレ再燃懸念で多くの消費者が支出に慎重になるなか、株高による資産効果の拡大が特に高所得層の消費を押しあげているとの見方が強い。

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