セブン&アイ・ホールディングスは31日、投資家向け説明会「IRデー」を開いた。米国でのコンビニ店舗の拡大やガソリン事業の変革を述べたほか、日本では2026年2月からモバイルオーダーを始めると説明。一般用医薬品について、宅配サービス「セブンナウ」でも27年度に取り扱う考えを示した。また、欧州事業を北米やアジアに次ぐ第4の柱に育て会社全体の成長を加速させる。
「世界で変化する期待を先取りする。グローバル人材の育成も強化していく」。セブン&アイのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長は冒頭で挨拶した。今回のIRデーは8月に示した30年度までの中期戦略に沿って、足元の進捗状況や今後の取り組みなどを話した。
北米では、レストラン併設店を含め1300店を新たに出店する方針を改めて示した。たまごサンドイッチなどプライベートブランド(PB)も拡充する。ガソリン事業については販売機会を一段と増やしつつ、物流の効率性を進めコスト削減を行うとした。
国内では出来たてパンや入れたて紅茶といったレジ横商品の導入店舗を、27年2月期までに1万店以上に広げる。26年2月からは専用アプリでの事前注文により、店頭で商品を受け取れるモバイルオーダーを始めると明らかにした。最短20分で届けるセブンナウでは27年度に一般用医薬品も取り扱う計画で、セブンナウ全体の売上高は30年度で約1200億円を見込む。
出店拡大を続け、30年度までに約1000店を増やす。その一環で、加盟店オーナーの複数店経営を促すため、27年度から新たな契約モデルを始めると発表した。現在、約1万4000人のオーナーのうち約65%が単独店経営とされ、オーナーの収益拡大につなげる。セブン―イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長は「地方の過疎地での出店など出店モデルの幅も広げていきたい」と語った。
セブン&アイは19の国・地域に約8万6000店を持つ。日米やアジアが大半を占めるなか、欧州はデンマークやスウェーデンなど北欧3カ国の365店にとどまる。「欧州はセブンの空白地」(セブンイレブンインターナショナルの若林健社長)として、欧州を第4の収益の柱に育てる。現時点で8カ国を候補にパートナー企業を探している。南米や中東、アフリカでも参入を検討していく。
セブン&アイは8月、30年度の業績目標を開示したが、31日には28年度時点の計画も示した。売上高に当たる営業収益は24年度比3%増の10兆3000億円、1株当たり利益(EPS)は72%増の148円を見込む。30年度にはそれぞれ、11兆3000億円と210円を目標に掲げている。
参加したアナリストからは、米国コンビニ子会社の新規上場の必要性に関する質問が相次いだ。新規上場をしなくてもセブン&アイは自社株買いや成長投資を進められるのではないかとの意見について、同社の丸山好道最高財務責任者(CFO)は「新規上場の方針は変わらないが、上場が目的ではなく調達した資金で何をするのかは重要だ」と述べた。上場時期は、米国コンビニ事業の業績などを見て判断するとも話した。
セブン&アイの経営陣が単独経営を維持する上で重要視する株価は、2000円にも届かない状況が目立つ。「株主への価値創造に引き続き注力する」と強調したデイカス氏に対し、投資家は国内外のコンビニの利益成長など具体的な結果を求めている。
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