北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の再稼働に向けた道主催の住民説明会が3日、札幌市であった。「北海道が汚染されてもいいと思っている」「最悪の環境破壊の責任を本当に取れるのか」――。参加した市民83人からは批判が相次いだ。
資源エネルギー庁と北電の担当者が原発の必要性や事故時の対応を説明。産業界が求めている原発などの脱炭素電源が不足した場合、「必要な投資が行われず、雇用の確保や賃上げが困難になる可能性がある」と再稼働の必要性を強調した。
質疑は予定の時間を2時間超過した。エネ庁の資料に核燃料の需給予想がないことや使用済み核燃料の増加を挙げ、市民からは「(説明に)非常にごまかしが多い」との批判もあった。エネ庁は最終処分事業が進んでいないと認め、「国民負担をどう抑制するかを加味し、原発は一定程度活用しないといけない」と応じた。
説明会に参加した小野有五・北海道大名誉教授(地質学)は北電が調査で火山性物質を見逃したと指摘し、「調査能力がない」などと批判。北電の担当者は「我々はそう思っていない」と反論した。
住民からは道民投票や、北電と専門家による公開討論会の実施を求める声も上がった。
道主催の説明会は9~10月に後志地方で7回開催し、道内6地域で11月24日まで開く。札幌会場の録画をユーチューブで配信する。
泊原発3号機は7月、原子力規制委員会の安全審査に合格。国が8月、鈴木直道知事と地元4町村長に再稼働への同意を要請している。【片野裕之】
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