
ダイキン工業が5日発表した2025年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比6%増の1609億円だった。金利負担や為替差損が重かった前年同期から反動増となった。営業利益は800万円増の2466億円で、わずかながら前年を上回り過去最高を更新した。米国のデータセンター向け空調や、猛暑を受けて国内のルームエアコンが伸びた。
為替相場が円高に振れた影響で、売上高は微減の2兆4787億円になった。売上高営業利益率は9.9%だった。
トランプ米政権による関税政策は、営業利益ベースで180億円の減益要因となったが、米国での製品値上げのほか、生産地や調達ルートの変更などで直接影響は完全に吸収したとしている。
ただトランプ関税による先行き不透明感から企業が設備投資を控えたこともあり、各地域で景気が低迷。米国やアジアなどで家庭用エアコンの需要が落ち込んだ。同日、記者会見した竹中直文社長は「米国の住宅市場の低迷や中国の不動産不況の影響により、我々の想定を上回って需要が低迷した」と述べた。

主力の空調事業の売上高を地域別にみると、最大市場の米州が2%増の9789億円だった。人工知能(AI)サーバーの需要が急拡大し、大規模なデータセンター向け空調の受注が増えた。住宅ローン金利の高止まりを受け、家庭用エアコンは苦戦した。
欧州は3%増の3614億円だった。データセンターや工場向けの大型空調「アプライド」が好調だったが、成長ドライバーとして期待していたヒートポンプ暖房市場の回復は遅れている。
国内は5%増の3406億円と主要市場で最も伸び率が大きかった。猛暑を受けて家庭用のルームエアコンの販売が伸びた。インバウンド(訪日外国人)増も追い風に、小売り店舗の建築着工が増加し、業務用空調の需要が高まった。
26年3月通期の純利益は、従来予想を80億円上回り、前期比6%増の2800億円に上方修正した。売上高や営業利益は据え置いた。4〜9月期に前年比で為替差損などが減少したことを反映した。トランプ関税は通期の営業利益ベースで420億円のマイナス要因になると見込む。影響額は期初予想から50億円引き下げた。
今後は世界的に建設が相次ぐデータセンターの冷却関連市場が成長の柱の一つになるとみる。AIの学習や推論に使うGPU(画像処理半導体)は多くの熱を発するためだ。5日午前にはサーバーを液体で冷やす技術を持つ米チルダインの買収を発表した。竹中社長は「これから一気呵成(かせい)に展開する」と意気込んだ。
10月に発足した高市早苗政権について竹中社長は「高市政権の掲げる成長分野への投資に期待している」と話した。
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