ボーイング737MAXの機体=AP

【ヒューストン=大平祐嗣】米ボーイングの小型機「737MAX」による2018〜19年の2件の墜落事故を巡り、米連邦判事は6日、同社の不起訴を求める米司法省の要請を承認した。同社は詐欺罪に問われていたものの訴追を免れ、法廷闘争は決着した。同社は遺族への補償などに11億ドル(約1700億円)を支払う。

司法省は5月に11億ドルの支払いなどを条件として、ボーイングを不起訴にすると同社と合意し訴訟の取り下げを裁判所に要請していた。米南部テキサス州フォートワースの連邦地方裁判所のリード・オコナー判事が司法省の要請を認めた。

オコナー氏は「本件の合意は乗客の安全を確保するために、必要な説明責任を果たすものではない」とし、ボーイングと政府の合意を批判した。ただ、政府に悪意があるわけでなく不起訴の理由を説明しているため、要請の却下はできないとした。

2件の墜落事故では計約350人が死亡した。事故の焦点とされるソフトウエア変更についてボーイングが米航空当局に通知せずに安全証明を得ていたことが詐欺罪に当たる可能性があるとして、同社は司法省による捜査を受けていた。

21年に再発防止策の導入などを条件に訴追を免れたものの、24年に飛行中にドアが吹き飛ぶ重大事故を起こしたため、再び訴追が検討されてきた。25年9月には遺族らが不起訴合意への異議申し立てを訴える公聴会が開催されていた。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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