
奈良県天理市で食品工場などの事業所を一般開放するイベント「天理 倉の耕流祭(こうりゅうさい)」が7日、始まった。工場を開放する通常のオープンファクトリーとは異なり、民間企業、自治体、大学、宗教団体など幅広い分野で見学・体験者を受け入れる。2025年は9日まで3日間の開催で、26年以降も継続して開く見通し。
参加企業などで組織する実行委員会が主催する。副実行委員長の上田隆氏は「精いっぱいのおもてなしをしたい」と話した。上田氏はエスプレッソマシンの輸入販売などを手掛ける大一電化社(天理市)を経営している。同社ではコーヒー焙煎(ばいせん)体験やマシンの構造見学などを実施するが、焙煎体験の予約枠は6日までにいっぱいになった。上田氏は「これだけ多くのお客様を迎えるのは初めてなので、スタッフともども、ワクワクドキドキしている」と心情を語った。

奈良県の名物である柿の葉ずしを「平宗」のブランドで製造販売する柿の葉ずし(天理市)の本社では、工場を見学したり柿の葉ずしづくりを体験したりできる。工芸品を中心に生活雑貨を扱う中川政七商店(奈良市)は24年に天理市へ開設した物流拠点「NKG倉庫」の内部を公開する。工芸のワークショップなども同時開催する。

今回のイベントには寺社も参加しており、天理市に本部を置く天理教は教会本部の神殿などを案内するプログラムを用意した。
幅広い業種から多くの事業者が参加し、あたかも街全体を一般開放するような「オープンドアイベント」と呼ばれる催事はドイツの地方都市での事例が知られているが、国内では珍しいという。実行委員会は3日間の参加者数を1500人と見込んでいる。

開催した狙いについて、副実行委員長の上田氏は「天理市に来たいと考える人を増やしたい。また、地元で働く人々には、これだけ注目される仕事をしているのだとプライドを持ってもらいたかった」と述べている。実行委員会は26年以降も開催して規模を拡大したい意向だ。
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