テスラは米テキサス州で自動運転タクシーの走行を始めている=ロイター

【アトランタ=川上梓】米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は21日までに運転支援システムを巡る事故の報告が遅れているとして、米電気自動車(EV)大手テスラの調査を始めたと発表した。運転支援システムによる重大な事故は発生から5日以内の報告が義務付けられているが、数カ月以上経過している事例が多数確認されたという。

NHTSAは「報告の遅れはテスラのデータ収集の問題によるものと思われ、テスラによると現在は修正されている」としている。NHTSAは今後テスラに対し、事故の報告が要件に準拠しているかや遅れている原因、対策について調査を進める。

NHTSAは4月に運転支援システムが関与する重大な事故が起きた場合の報告ルールを見直した。企業は事故の通知を受けてから5日以内に当局に報告書を提出することが義務づけられている。

NHTSAは2024年10月、テスラの高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」を搭載した240万台について安全性に問題がないか調査を開始した。道路の視界が低下した状況下で衝突事故が相次いでいることが背景だ。今年1月には遠隔操作機能に関連した衝突事故の報告を受けて、260万台を対象に調査を始めた。

テスラの運転支援システムを巡っては、米フロリダ州で19年に同社の運転支援システム「オートパイロット」を搭載した車で起きた死傷事故を巡り、同州の連邦地方裁判所が1日、テスラに計2億4300万ドル(約360億円)の損害賠償を命じた。

【関連記事】

  • ・テスラ、失策続きの1年 マスク氏「巨額報酬」遠のく
  • ・テスラに360億円の賠償命令 フロリダ州、運転支援巡る事故で初
  • ・テスラのAI自動運転、日本の一般道で走行 手を添えるだけ
  • ・米ウェイモ、NYで自動運転タクシー試験走行 テスラも参入検討
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。