中国で開かれたイベントに登壇したエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(7月、北京市)=ロイター

【シリコンバレー=清水孝輔】米ネットメディアのジ・インフォメーションは21日、米エヌビディアが中国向け人工知能(AI)半導体「H20」を巡り、関連品の生産を停止するように一部の調達先に伝えたと報じた。中国当局がエヌビディア製を排除する意向を示したことで、米政府が認めた輸出再開の先行きが不透明になっている。

報道によると、エヌビディアは半導体の後工程大手である米アムコー・テクノロジーと韓国サムスン電子に対し、H20に関連する生産を停止するように要請した。アムコーは半導体の組み立て工程、サムスンは広帯域メモリー(HBM)の生産を担う。

エヌビディアは21日、日本経済新聞の問い合わせに「当社は市場の状況に対処するため、常にサプライチェーン(供給網)を管理している」と述べた。生産停止に関する要請の有無については明言しなかった。

トランプ米政権は4月、H20を対中輸出規制の対象に加えた。エヌビディアは規制強化を受け、出荷を停止していた。米政府は7月に方針を転換し、H20の輸出に必要な許可を発行する方針をエヌビディアに伝えた。同社は輸出再開へ生産体制を整えていた。

中国当局は7月、H20にセキュリティー上の懸念があると指摘し、エヌビディア担当者を呼び出して説明を求めた。米ブルームバーグ通信によると、中国当局は国内企業に対してエヌビディア製の半導体を使わないように求めている。

トランプ氏は8月、H20などの出荷を認める見返りに、半導体企業が中国向け売り上げの15%を米政府に支払うと明らかにした。中国当局がエヌビディア製の半導体を排除する方針を示したことで、米政府も想定通りの収入を得られない可能性が出ている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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