インドネシアのTikTok画面
ユニ・チャームが新たな手法で生理用品の販売に乗り出す。活用するのは、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の電子商取引(EC)機能「TikTok Shop」だ。ショート動画やライブで商品の特徴や使い方を実演することで、商品への理解を深めてもらい、新規顧客を開拓する。

TikTok Shopは動画やライブ配信で商品を紹介し、利用者が直接購入する。6月末から外部サイトを経由せず、アプリ内で購入まで完結できるようになった。

同社は9月に公式ストア「ユニ・チャーム ソフィ公式Shop」を開設した。11月下旬、第1弾のライブを配信する予定。10月発売の生理用ナプキンブランド「ソフィ」人気シリーズ「超熟睡」の新商品「ソフィ おでかけ交換ショーツ」を取り上げる。

新発売の「おでかけ交換ショーツ」。ライブでは外出先でもズボンや靴を脱がずに交換できる利便性をアピールする

「おでかけ交換ショーツ」は同社独自の「交換テープ構造」を採用しているのが最大の特徴だ。両サイドのテープを外して着脱する様子を実演し、外出先の狭いトイレでもズボンや靴を脱がずに交換できる利便性をアピールする。

交換テープで狭いトイレでもズボンや靴を脱がずに交換できる

これまで夜間使用向けが中心だったショーツ型ナプキンの利用シーンを日中にも広げる提案として打ち出すのが狙いだ。

青山泰明EC戦略運営部長は「ショート動画やライブで商品への理解を深めてもらう。その場で決済でき、新製品や使い方の説明が必要な商材と親和性が高い」と語る。

日本のTikTok画面

同社によると、国内のショーツ型生理用ナプキン市場は2021年から24年にかけて金額ベースで2倍以上に成長し、日中利用のニーズが高まっている。同社は若年層や働く女性など活動量の多い層を主要ターゲットとし、店頭想定価格は4枚入り約680円、7枚入り約1060円。ドラッグストアや量販店を中心に全国展開する。

タイのTikTok画面

ユニ・チャームはインドネシアでは23年からTikTokを通じて紙おむつやペット関連用品を販売している。タイやベトナムでもライブコマースは導入済みだ。こうした海外でのライブコマース運営の知見を生かし、日本でもKOL(キー・オピニオン・リーダー)との連携やショート動画の配信などに取り組む。ライブ配信は視聴率が高まる平日夜間帯や週末午後などに集中して配信する。

経済産業省によると、24年の国内の消費者向けECの市場規模は約26兆円と23年に比べて5%増えた。ただ、ライブコマースや短編動画などは中国や米国などと比べると拡大の余地は大きい。同社は今後生理用品のほかにも、主力事業のベビー用紙おむつやペット用品なども販売していく考えだ。(西山良太)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。