
ソフトバンクは12日、遮蔽物の多い環境で電波を効率よく飛ばせるようにする特殊な反射フィルムの実用化へ検証を始めたと発表した。積水化学工業のフィルムを使い、屋内で電波の死角となるエリアを無くす。フィルムは透明で折り曲げられる構造で壁面やガラスに設置できる。オフィスのほか、駅構内や工場での活用も視野に入れる。
高速大容量の通信ができる「ミリ波」と呼ぶ高周波数帯の電波の普及を後押しする。ミリ波は次世代の通信技術として期待されるが、遮蔽物の影響を受けやすく、屋内で圏外や電波の弱いエリアが生じやすい。フィルム素材で電波の流れを制御して都市部でも利用しやすくする。
積水化学が開発を進める「メタサーフェス反射フィルム」と呼ぶ特殊な素材を生かす。微細加工を施して電波の反射方向を自在に変えられる。壁面などに貼り付け、電波を死角となるエリアに誘導して簡単に圏外などを解消できるようになる。
今夏にソフトバンク本社(東京都港区)で効果を検証した。オフィス内の壁面やポスターフレームに貼って通信速度の変化を確かめた。対象となった空間すべてで電波の受信状況を改善できた。今後は両社で用途の検証を重ねて実用化を目指す。イベント会場や物流倉庫など幅広く用途を探る。
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