アサヒビールの商品入荷に関する掲示(10月、さいたま市の「ヤオコー岩槻本丸店」)

アサヒビールは13日、10月の売上高の概算が前年同月比1割減になったと発表した。9月末に親会社のアサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受けシステム障害が発生し、商品の受注や出荷が停滞した。毎月開示していた国内ビール類飲料の販売実績は正確なデータの集計ができないとし、2カ月連続で公表を見送った。

10月から出荷を再開している商品は、平常時の売上構成比の8割に相当する。国内ビール全6工場は10月2日から操業を再開した。同月内では「スーパードライ」ブランドを始め、ビール、ウイスキー、焼酎など50商品が流通できる体制を整えた。

アサヒビールを除く大手3社の国内ビール類飲料の販売数量は8%増だった。飲食店などからの代替や切り替え需要が急増し、瓶や樽(たる)ビールは8%増えたほか、家庭向けを主とする缶ビールも8%伸びた。

ジャンル別ではビールが18%増だった。3社の主力ブランドは軒並み前年実績超え、キリンビール「一番搾り」が12%増えたほか、サントリー「プレミアムモルツ」は5%増、サッポロビール「黒ラベル」も27%増だった。発泡酒や第三のビールを合わせた「エコノミージャンル」は2%減だった。

企業別ではサッポロが「エビス」の刷新も寄与したことで、13%増だった。サントリーは前年に限定品を販売した反動から微減となった。金額ベースで公表しているキリンビールは19%増だった。10月に発売した新ビール「グッドエール」好調で、25年の販売数量目標も当初計画の5割増の90万ケース(大瓶換算)とした。

アサヒは11月から第三のビール「ザ・リッチ」や発泡酒「アサヒオフ」の出荷を再開した。月内には「アサヒオリオン ザ・ドラフト」や「アサヒプレミアム生ビール熟撰」も順次再開させ、ビール類に限っては主力ブランドのほとんどが流通できる状態になる。

競合メーカーの関係者は「アサヒから流れてきた代替需要は10月に比べて限定的になる」という。

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