佐賀県唐津市は12日、九州大と共同開発した完全養殖マサバ「唐津Qサバ」を今季は出荷できない状況にあると発表した。「今夏の記録的な高温による養殖場の海水温上昇が原因」で大量死したため。出荷停止期間は「当分の間」としている。
市水産課によると、唐津Qサバは2014年に販売開始。佐賀玄海漁協が商標登録し、現在は唐津市内の旅館や飲食店のほか、福岡や東京の飲食店でも提供され、昨季の出荷は約2万匹余だった。
例年は10月上旬から翌年6月ごろまで出荷。今季も約2万匹の出荷を目指していたが、唐津市、伊万里市、玄海町の養殖業者で生育していたサバの8~9割が夏にへい死した。被害額は約3600万円に上る見込み。
完全養殖は、人工的にふ化させた魚を親魚にまで育て、その親魚から再び卵を採って人工ふ化させる。さらに配合飼料で育てることで、食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」のリスクを低減し、14年の販売開始以降、アニサキスの発見例はないという。
生育に適した海水温は20度程度で、25度を超えるとへい死の危険性が高まる。今夏の海水温は30度近くまで上がっていた。26年の稚魚の業者への供給は4月に開始する予定だが、出荷までには1年半ほどかかるという。
市水産課は「唐津QサバのPRに尽力していただいている方々に申し訳ない。関係機関と協議し、養殖環境の改善に向けた対策を進め、再出荷に向けて全力を尽くす」としている。【成松秋穂】
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