政府は13日、月内に策定する総合経済対策の原案を自民党に提示した。物価高対策として、自治体が柔軟に使い道を決められる「重点支援地方交付金」を拡充し、家計支援や賃上げ促進策を行うことが柱。高市政権は「責任ある積極財政」を掲げて財政出動を拡大させる方針で、裏付けとなる2025年度補正予算案の歳出規模が大きく膨らむ公算が大きい。

重点支援地方交付金を拡充し、おこめ券やプレミアム商品券の配布を推進する。同交付金を活用し、賃上げを行う中小企業も支援。住宅価格の高騰対策では、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の融資限度額引き上げを盛り込んだ。

医療・介護分野の経営や従事者の処遇改善に向けた「医療・介護等支援パッケージ」も策定。「報酬改定の効果を前倒しすることが必要」として、賃上げなどの対応を前倒しで行う。経営が悪化する民間の基幹病院には、財務基盤強化につながる資本性劣後ローンも提供する。

政権が掲げる危機管理投資・成長投資では、量子・重要鉱物など安全保障上、重要な分野の供給網を強化する新たな財源確保の枠組みを検討。国際競争力が低下している造船業の生産基盤強化や研究開発を支援するため、総額1兆円規模の投資実現を目指す。

補正予算の規模を巡っては、12日の経済財政諮問会議で複数の民間議員が24年度の13.9兆円を上回る必要があると提言。13日の自民党会合でも議員から「20兆円規模を目指してほしい」などの意見が出た。自民党の小林鷹之政調会長は規模感について「私の感覚では財政当局とまだまだ乖離(かいり)がある」と指摘し、一段の上積みを求めていく考えを示した。

財源については、片山さつき財務相が「足りなければ、国債増発になる」と国債発行で賄うことを容認する姿勢を示している。

自民党の小林鷹之政調会長=10月30日、同党本部

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