米ブルーオリジンが打ち上げた大型ロケット「ニューグレン」(13日、米南部フロリダ州)=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が率いる米宇宙開発会社ブルーオリジンは13日、大型ロケット「ニューグレン」の2回目の打ち上げを実施した。今回の打ち上げは米航空宇宙局(NASA)と連携し、2つの無人探査機を地球の軌道から火星に飛ばした。将来の火星探査に備え、火星の磁気圏などを調べる。

ブルーオリジンは米国東部時間で13日午後4時ごろ、米南部フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からニューグレンを打ち上げた。打ち上げから数分後にはロケットは上部の2段目と下部の1段目に分かれ、約30分後に積み荷の無人探査機の展開に成功した。

無人探査機は、太陽から吹き出す電荷を帯びた粒子の流れである「太陽風」が火星の磁気圏へどのように影響するかなどを調べる。将来の有人での火星探査などに向けて情報を蓄積する。無人探査機の火星への到着は27年を予定されている。

エンジンを7基積んだロケットの1段目は、打ち上げから約10分後に数百マイル下流の大西洋上の専用船に帰還した。同社による1段目の回収成功は初めて。

競合で起業家のイーロン・マスク氏が率いるスペースXはすでにロケット「ファルコン9」を回収して再利用するスキームを実現し、同社のコスト競争力の源泉となっている。ブルーオリジンの今回の成功は、スペースXの独占市場に風穴を開ける可能性がある。

もっとも、スペースXは宇宙開発で圧倒的な存在だ。ロケットの技術を確立させており、年間100回以上を打ち上げる。世界市場で過半のシェアを持つ。現在は有人での火星飛行を目指し大型宇宙船の開発に打ち込む。

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