高市早苗首相は14日の参院予算委員会で、最低賃金を巡り、石破茂政権が掲げた「2020年代に全国平均1500円」の目標について、「今、必ずいつまでにいくらということを申し上げるわけにはいかない」と明言を避けた。「経済動向を踏まえて具体的に検討する」と述べた。
最低賃金を巡っては岸田文雄政権が賃上げなどによる分配を成長戦略の柱として「30年代半ばまで」に1500円の実現を目指していたが、石破政権が引き上げ時期を20年代に前倒ししていた。
高市首相は具体的な数字を掲げることについて「結果的にはこれまで示された目標よりも高くなる可能性もあるし、外的な要因でショックが起きてなかなかそれが難しい場合もある」との認識を示した。
石破政権が掲げた目標に「地方の事業者からは相当な不満の声が上がった」と指摘し、「金額を今私が申し上げてしまうと、地方も含め、たくさんの中小企業、小規模事業者に対して丸投げをすることになる。それはとても無責任だ」と否定的な考えを示した。その上で「できる限りの賃上げができる環境をつくるための努力をする」と述べた。
城内実経済財政担当相は目標を「撤回するとは申し上げていない」とも述べた。高市政権が設置した「日本成長戦略会議」に示された重点施策では、最低賃金引き上げに関する記述や賃上げの具体的な目標値が消え、政策の軸足が投資に移っていた。【野間口陽】
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