北九州市門司区の障害者支援団体で一般社団法人「障がい者によるSDGs」が、廃校を活用して養殖する「関門サーモン」を使った料理のお披露目会を催した。安定的な障害者雇用と賃金確保を見据えて取り組む活動で、担当者は「北九州発の新たなモデル事業として広げていきたい」と話している。
関門サーモンは「一次産業で障害者の工賃向上」を掲げ、同団体が2022年に始めた陸上養殖事業。「旧門司特別支援学校」(16年廃校)の校舎を活用して進めている。校舎内には、直径3メートルの養殖用円形プールや、地下から淡水をくみ上げるポンプなどの水循環設備を設置。既存の養殖施設を視察して得たノウハウを生かし、障害者を中心に養殖を進めている。
市販されているトラウトサーモン特有の濃い脂身を抑え、あっさりながらも甘みのある味わいが特徴。養殖に必要なワクチンは使わず、安心・安全をPRポイントにしている。
小倉北区の飲食店でお披露目食事会を開催。約140人がサーモンをふんだんに使ったカルパッチョやピザ、刺し身を味わった。地元の専門店と共同開発したピザは、魚類と相性の良いバジルソースを使った「ジェノベーゼ」として提供。岩塩や黒コショウがアクセントを生み、カットレモンを添えた。訪れた人は「あっさりしていて何枚もいける」「予想以上のおいしさ」などとビールを片手に舌鼓を打った。
同団体は7月に大阪・関西万博であった共創事業発表会に九州代表として登壇。福祉と一次産業、さらには廃校を利用した活動を紹介した。その取り組みは全国的にも注目を集めているという。
サーモンの安定供給を目指す団体の代表理事、一柳泰造さん(51)は「料理は思っていた以上の反響」と笑顔を見せ、「全国的に課題の廃校を使って、水産と福祉の連携モデルを構築させたい。障害者や高齢者が一次産業を支えていく仕組みにつなげることができれば」と先を見据えた。【橋本勝利】
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