手作業で出荷作業を行うアスクルの従業員(19日、横浜市のASKUL横浜DC)

サイバー攻撃を受けたアスクルは19日、一部稼働を再開した物流施設を報道陣に公開した。ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)に感染し、業務を停止していた。一部の商品に限って出荷を再開しており、作業員が手作業で出荷業務を行っている。サイバー攻撃からこの日で1カ月だが、出荷能力は従来の最大2割ほどにとどまる。

アスクルは10月19日にサイバー攻撃を受けた。物流システムの一部が暗号化されて通常の手順では起動できない状態に陥り、物流施設を停止した。11月上旬から医療用品などの一部商品に限定してファクスで注文を受け付け、物流施設の稼働を一部再開した。

商品をトラックまで運ぶ作業員(19日、横浜市のASKUL横浜DC)

この日は60人ほどが作業する「ASKUL横浜DC」(横浜市)の様子を公開した。作業員が紙に記載された情報をもとに商品を集め、配送先などを記した荷札を手作業で貼り付けていた。荷物は委託先の物流企業に手渡す。横浜のほか、仙台や名古屋などの7施設で同様の業務を一部再開している。

現在の出荷能力は7施設で従来の1〜2割にとどまる。アスクルの担当者は「顧客のニーズの高い商品から順次、発送を再開している。1日も早い復旧に取り組む」と話している。

アスクルが手掛ける3サイトのうち、大企業向け「ソロエルアリーナ」は11月12日から順次再開している。法人向け通販「ASKUL」は12月上旬から順次復旧を予定している。個人向け「LOHACO(ロハコ)」はASKULのサービスが本格的に復旧した後、再開するとしている。 

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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