ロブロックスは若者中心に世界で利用者が増えている

ゲームプラットフォームの米Roblox(ロブロックス)は利用者同士のチャット機能で顔写真撮影による年齢確認を必須にすると発表した。子供の安全対策の一環で、大人とのやりとりを制限する。未成年保護のため世界各地でSNSやゲームを対象にした規制が広がっており、テック各社も対策を強化している。

スマートフォンなどのカメラ機能を使った年齢推定機能で、任意で提供を始めた。12月以降にオーストラリア、オランダなど一部で必須化を始め、年明けに日本を含む世界に広げる。

アプリ内で利用者が「自撮り」して顔写真を送ると、提携先で認証サービスの米ペルソナ社の技術で年齢を推定する。年齢ごとに9歳未満、9〜12歳、13〜15歳、16〜17歳、18〜20歳、21歳以上の計6つのグループに分かれ、近い年代同士だけがチャットできる。

例えば、推定12歳の利用者は9〜12歳のグループで16歳以上とは原則チャットできない。推定9歳未満はチャットの利用自体に親の許可が必要になる。実世界で知り合いの場合などは未成年と大人のチャットが可能だ。年齢推定に使った写真は即削除するとしている。

スマホなどのカメラ機能を使って顔写真を撮って送信すると、年齢が推定される=ロブロックス提供

ロブロックスはユーザー自身が3Dゲームなどを開発して遊べるプラットフォームで、世界で利用が増えている。利用者は1日平均1億5150万人で13歳以下が3分の1を占める。利用者間の交流をきっかけに未成年者が大人から性被害も受ける事件も起きており、8月に米ルイジアナ州、11月にテキサス州が安全対策が不十分として同社を提訴した。

近年、SNSやゲームを巡る子供の犯罪被害や中毒性が問題となり、世界各国で規制が広がる。オーストラリアでは16歳未満のSNSなどの利用を禁じる法律が12月に施行され、欧州連合(EU)でも同様の規制の議論が進む。「Chat(チャット)GPT」など対話型AI(人工知能)でも「自殺の原因になった」として米国で遺族らが米オープンAIなどを訴える動きが広がり、米連邦取引委員会(FTC)は9月に対話型AI各社に報告を求めた。

運営企業の安全対策として、年齢に合わせて使える機能を制限する手法が一般的だ。だが年齢確認にはまだ課題が多く、自己申告では虚偽を防ぎきれない一方、身分証提出だと手間がかかりセキュリティーの懸念も残る。

新たな手法として米グーグルは「ユーチューブ」、米メタは「インスタグラム」でそれぞれ、ユーザーの行動や投稿内容から機械学習で年齢を推定する取り組みを始めた。ロブロックスの顔写真提出もユーザーに確認を求めやすい技術の一つだが、あくまで推定のため実際と異なる可能性もあり、同社は公的身分証を使った認証も実施している。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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