国内のAI責任者の実態調査を解説するPwCジャパングループの藤川琢哉CAIO(21日、東京都千代田区)

PwCジャパングループは21日、国内における人工知能(AI)の責任者に関する実態調査を発表した。売上高500億円以上の企業・団体のうち、計6割が最高AI責任者(CAIO)のような幹部級の役職を設置していた。未設置の組織はAIの活用も遅れがちで、同社は「AIに期待する成果に即したCAIO人材を配置すべきだ」としている。

調査は6月、国内大手のAI担当者1024人に実施した。CAIOを設置しているとの回答は22%で、CAIOと同等の役職の設置も38%だった。未設置は40%だった。

業務や技術といった領域ごとにAI活用の度合いを聞いたところ、未設置組織は設置組織に比べて約20ポイント近く活用に遅れが生じていた。また、CAIOにリスク管理やガバナンスの専門知識がある場合、AI活用が直近3年間で後退した割合も少なかった。AIを安全に利用するためのルール整備が奏功したためとみられる。

CAIOの入社形式では「新卒のプロパー採用」が69%に上り、「外部からの中途採用」は31%だった。組織への在籍年数も「20年以上」が52%で、業務内容や企業文化を深く理解している人材が任命されている。

PwCジャパングループのCAIOを務める藤川琢哉氏は「CAIOはAIによる大胆な経営変革の指揮を執るのが役割だ。技術的な知識よりも、ビジネス全体の知識や自社内のネットワークの方が重視されている」と話した。

BUSINESS DAILY by NIKKEI

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